刊行

都市計画306号
地理空間情報とビッグデータ活用の可能性 ―レジリエントな国土・地域社会の構築

 我々が生きる国土・地域社会には,地震・大雨・台風のような自然災害,地球温暖化などの気象変動,エネルギー資源の枯渇など様々な攪乱の要素がある。これらの攪乱に対して「しなやかに立ち直れる強さ=レジリエンス」を備えた国土・地域社会の構築には,その土地や社会が持つ潜在力や復元力を正確に分析・評価する技術が大事になる。その技術の前提となるのが,昨今の情報通信技術の発達を背景にした地理空間情報やビッグデータのようなエビデンス情報の活用・分析技術であるという基礎認識に立ち,本特集では,これらを活用した国土・地域計画の可能性について事例を挙げて紹介するものである。

 特集の構成は,まず,国内の地理空間情報やビッグデータの整備状況を確認した後,社会・環境・経済的な福利に資する様々な活用例─エネルギー開発,防災・減災,生態系・環境再生などの分野における事例─をあげていくことで,レジリエントな国土・地域計画の可能性を広げていきたい。

(編集担当:芮 京禄)

目次

地図の中の風景

第一軍管地方二万分一迅速測図と五千分一東京図
 岩崎 亘典


私が出会ったまち

ギョレメ村(カッパドキア・トルコ) ―ファルークとの思い出
 中谷 礼仁


巻頭言

レジリエントな国土・地域社会の構築
 武内 和彦


特集論文

国土地理院の地理空間情報活用の取り組み
 出口 智恵・小野 康・南 秀和・岡村 盛司

ビッグデータと地理空間情報
 浅見 泰司

生物多様性情報の整備と提供
 環境省自然環境局生物多様性センター

地理空間情報を活用した国土政策の展開
 川上 征雄

地理情報システムを用いた再生可能エネルギー導入ポテンシャルの推計
 吉田 諭史・坂東 政典

“災害ビッグデータ”活用の今後
 村上 圭子

山形県エネルギー戦略と再生可能エネルギー活用適地調査
 沼澤 好德・青木 忍

レジリエントな地域社会の形成とグリーンインフラストラクチャーの意義
 木下 剛・芮 京禄

災害特性に基づく地理的地域特性区分と活用
 小荒井 衛

周伊勢湾域におけるGISと分子系統学的情報を融合させた生物多様性評価
 南 基泰

GISによる防災情報の発信とオープンデータへの取組 ―情報資産の活用力を高めよう!―
 杉本 直也

多元的デジタルアーカイブズと記憶のコミュニティ
 渡邉 英徳

帰宅困難者数の推計へのモバイル空間統計の活用
 村上 正浩

1980年における地域計画のビッグデータ(エコロジカル・プランニング)の現代的な意義 ─災害の事前予測と復興計画への応用―
 上原 三知

海洋生態系管理と地域計画
 片山 知史


書籍探訪・新刊レビュー|情報委員会


海外特派員だより

上海浦東の前灘計画 ―大浦東計画への幕開け
 趙 城埼


支部だより|北海道・東北・中部・関西・中国四国・九州支部


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