震災1周年特集でもある東北支部特集は,東日本大震災の復興計画の現在を読み解き,東北復興の未来を展望することと,過去からの東北の都市づくりを紹介する構成としました。
前半で,歴史的に東北の開発と災害史を概観し,大規模災害後の復興計画がその後の都市づくりにどうつながり,都市計画や事業制度にどう影響したのか,三陸大津波と東北の戦災復興都市を検証し学ぶねらいがあります。また東北の都市それぞれの個性を形成してきた計画経緯を,支部の研究者等が紐解いています。
後半は復興計画に携わっている研究者や実務者を中心に,復興の現在を踏まえて,計画論につながる展望をするねらいがあります。復興に関わる研究者の座談会では有益な意見交換ができました。いくつかのテーマは,充分に意見交換体制を組む時間的余裕がないまま,編集責任者自ら記述しています。この特集もきっかけのひとつとなって,復興計画の現在から未来への計画論が,よりよい計画実現につながることを切に望みます。
(担当:相羽 康郎)
宮城県図書館所蔵の「御領分絵図」を見て
大村 虔一
海の蝦夷,気仙郡陸前高田市
池邊 このみ
東北の過去と未来 ─震災1周年の現在
相羽 康郎
東北地方 開発の歴史
奥村 誠
東北の自然災害
松冨 英夫
東北地方の戦災復興10都市の概況
浅野 純一郎
港町宮古の計画史 慶長津波からの復興による町割りと港湾開発
三宅 諭
釜石中心地区の復興計画と市街地形成の履歴
中島 直人
小国 内藤多仲と戦前の産業遺産
香川 浩
気仙沼における市街地の拡張とまちづくり
小地沢 将之
秋田市総合都市計画の残した軌跡
山口 邦雄
真のコンパクトシティを実践する弘前市
北原 啓司
山形市にみる近代都市計画史 『山形市都市開発基本計画』を中心に
小林 敬一
盛岡の形成
南 正昭
郡山の都市づくりの歴史 ─安積開拓と安積疎水開削,耕地整理,戦災復興計画─
土方 吉雄
湊町新潟の再生
岡崎 篤行・今村 洋一
仙台の戦災復興土地区画整理事業と基盤整備
姥浦 道生
大船渡市の都市計画史 港湾都市開発と集団移転
倉原 宗孝
長岡の都市計画 今昔 様々な苦難を乗り越えて,まちなか再生を図る
中出 文平
地元大学の活動
大沼 正寛
都市計画コンサルタントと行政
脇坂 隆一
[座談会]東北の復興計画と課題
稲村 肇・今西 肇・姥浦 道生・鈴木 孝男・平野 勝也・増田 聡・南 正昭・三宅 諭・奥村 誠・古藤 浩
高台移転と災害公営住宅の現在と未来
相羽 康郎
防潮堤計画の現在と未来
梶原 康之
未来への提言:再生可能エネルギーと地域再生
三浦 秀一
未来への提言:縮退都市の計画論およびダウンタウンの復興
相羽 康郎
東日本大震災と木造応急仮設住宅の展開
鈴木 浩
津波被災市街地復興手法検討調査
望月 明彦
弘前からの招待状①
北原 啓司
東京大学大学院工学系研究科 都市工学専攻国際都市計画・地域計画研究室
早稲田大学創造理工学部 後藤春彦研究室
Transantiago ─チリ共和国・サンティアゴにおける公共交通網の改革
髙野 裕作
「共有」と「勤勉」のガーデン
Jay Bolthouse