本特集号は,東日本大震災を受けて日本都市計画学会に発足された「防災・復興問題研究特別委員会」の活動中間報告の位置づけとして編集されたものである。特別委員会の活動は3年間を予定しているが,震災発生から1年半が経過した時点で,これまでの活動成果,得られた知見,提言をまとめて,東日本大震災からの復興や今後の各地域での防災に,できるだけ早い段階から寄与することを意図している。
特集論文(報告,論考,提言)は全部で24本である。各論文は以下の構成・並び順で掲載されている。
①土木学会との連携委員会:1)岸井
②第1部会(復興まちづくり):2)北原(第1部会のまとめを兼ねる),3)野澤・市古・河村,4)真野,5)志村,6)富田
③第2部会(都市防災):7)中林(第2部会のまとめ),8)加藤,9)小泉,10)中林,11)池田,12)浅野,13)牧
④第3部会(社会システム再編):14)苦瀬(第3部会のまとめ),15)矢野,16)佐伯・長谷川・森本・吉田,17)屋井・古倉,上野,18)城所・秋田・池邊・横張
⑤第4部会(アーカイブ):19)片山(第4部会のまとめ),20)秋本,21)角野,22)饗庭,23)中島
⑥日本地域福祉学会との連携委員会:24)宮城
囲まれる風景
渡邉 定夫
岩手県大船渡市越喜来泊地区
作山 康
巻頭にあたって:東日本大震災からの復興,1年半を経過して
鳴海 邦碩
東日本大震災 市街地復興への道程 ―地域基盤の再構築に関する連携委員会の活動から―
岸井 隆幸
広域後方支援拠点の可能性と課題 ―きたかみ震災復興ステーションの経験を通じて―
北原 啓司
被災地における計画主体を組み立てる ―野田村復興まちづくりシャレットワークショップの活動をとおして―
野澤 康・市古 太郎・河村 伸治
都市復興と中心市街地:石巻でのコンテクストの再認識から
真野 洋介
地域自治とまちづくりによる福島県原発事故避難区域の復興 ~浪江町と二本松市の状況と取り組み~
志村 秀明
気仙沼に焦点を当てた漁業の復興
富田 宏
これからの都市・地域防災の基本方向 ―第2部会の中間報告―
中林 一樹
東日本大震災の復興を俯瞰して,これからの防災・減災まちづくりを考える
加藤 孝明
プランニングをデザインする:復興・事前対策から現代的なプランニングへの転換の方向をさぐる
小泉 秀樹
首都直下地震への新しい備えと主要課題
中林 一樹
南海トラフの巨大地震による津波被害想定をどう受け止めどう対応するか ―静岡県の事例について
池田 浩敬
東日本大震災後の三重県における防災・減災対策について
浅野 聡
高知市における長期湛水被害
牧 紀男
防災・減災のための社会システムの再編に向けて
苦瀬 博仁
救援物資供給のための官民連携によるロジスティクスシステムの構築
矢野 裕児
冗長性と回復力のあるライフラインの階層的構築とコンパクトシティづくり
佐伯 直・長谷川 隆三・森本 章倫・吉田 聡
新たな計画・評価制度に基づく災害に強い地域と交通システムの構築
屋井 鉄雄・古倉 徹夫・上野 俊司
東日本大震災からの復興と国土・地域・コミュニティのマルチスケール・ネットワーク
城所 哲夫・秋田 典子・池邊 このみ・横張 真
復興まちづくりアーカイブの構築に向けて:アーカイブ部会の取り組み方針
片山 健介
復興アーカイブの重要性
秋本 福雄
阪神・淡路大震災からの復興とアーカイブ
角野 幸博
災害復興オーラルヒストリーの提案
饗庭 伸
「三陸海岸都市の都市計画/復興計画アーカイブ」に学ぶ
中島 直人
復興コミュニティ像の模索:日本地域福祉学会との連携研究会から
宮城 孝
編集後記:阪神・淡路大震災との相違点と類似点
鳴海 邦碩
「支援力」と「受援力」に着目し広域支援活動を検証 ~神戸市職員派遣の記録と検証報告書の紹介~
福島 徹
木密地域不燃化10年プロジェクト 「不燃化特区」の取組
青木 成昭
歴史・文化資産を活かした復興まちづくりに関する基本的考え方
大石 智弘
「復興都市デザインの手引き」その解説と活用可能性
高見 公雄
東日本大震災 復興まちづくりに携わって:派遣職員からの報告
小谷 安彦
はじめてのガッカイ
谷口 守
熊本大学大学院自然科学研究科環境共生工学専攻 交通まちづくり研究室
米国アトランタが取り組む持続可能な都市圏政策:Atlanta BeltLine
大庭 哲治
大都会と小都市
沈 悦