学会誌「都市計画」の民間都市プランナー論に関しては,1977 年の「民間都市プランナー論」を皮切りに,必ずしも「民間」に的を絞っているとは限らないものの,ほぼ5 年から10 年に1 回の間隔で,5 回にわたり民間都市プランナーに関する特集を組んでいる。近年では2007 年の268 号であり,それから15 年以上経過している。学会員の約 4 割が民間機関に属する人たちであることもあり,そろそろ特集を組む頃ではないかと考えた。
さらに,ここ1~2 年は,民間都市プランナーに関わりの深い2 大組織である「(特非)日本都市計画家協会」と「(一社)都市計画コンサルタント協会」がそれぞれ30 周年,50 周年を迎える。
同様に,民間都市プランナーの黎明期と位置づけられる 1960 年代末から 1970年代初頭にかけて設立された多くの民間都市計画事務所が,創立50 周年を近年相次いで迎えており,まさに節目の時期である。
一方で,民間都市プランナーを取り巻く状況は目まぐるしく変化を遂げている。
以上のような背景のもとに,改めて令和のこの時に,民間都市プランナー論を特集に取り上げるものである。
本特集では,黎明期における民間都市プランナーの生き様や思いを当時起業した先輩諸氏に振り返ってもらう。また,全体としては「これからの歩み」に重点を置いて,先の見えない混沌とした時代背景のもとに,民間都市プランナーの多様な奮闘する姿と新しい職能形態の実態を通して,これからの民間都市プンラナーの進み行く先を考えてみたい。
この特集を通して,民間機関に属する学会員の方々がより一層学会活動において活躍されることを期待したい。
[文:佐伯 直]
(特集担当:上條 由紀・黑田 美穂・小浦 洋生・小崎 晶子・
佐伯 直・坂井 信行・高鍋 剛・松本 彩花)
今昔マップ
小市 浩伸
【民間プランナーへの期待】
なぜ,いま,民間都市プランナー論なのか─本特集の編集に当たって
佐伯 直
[巻頭対談]日本のアーバニズムのこれから
蓑原 敬×小泉 秀樹
都市成熟期の民間都市プランナーの職域と職能─未来の都市を描き築くヒーロー
大沢 昌玄
アーバニスト的プランナーに関する覚え書き─つくる,生きる,そして生成
中島 直人
【これまでの歩み】
[年表] 民間都市プランナー50 年の歩み
小浦 洋生・佐伯 直・松本 彩花・黑田 美穂
学会誌における民間都市プランナー特集の系譜
松本 彩花・黑田 美穂
民間都市プランナーの先駆け──浅田孝
笹原 克
東京における民間都市プランナー群の登場
土井 幸平
黎明期,関西の民間都市プランナーの話
三輪 泰司
【これからの歩み】
民間プランナー組織における取り組み
認定都市プランナー制度の創設経緯,特徴,今後の展望
佐伯 直
都市計画コンサルタントの役割を人の個性から考える─都市計画コンサルタント協会 協会ビジョン2023 策定の議論から
西尾 京介
これからのプランニングとプランナー像─認定NPO法人日本都市計画家協会におけるプランナー像の議論から
高鍋 剛
アンケート調査
アンケートからみた,これからの民間都市プランナーについて─都市プランナーとしての技術的・職能的な課題と対応策,将来必要となる都市プランナー像
小﨑 晶子・上條 由紀
新たな職能領域に向けて
地域への民間都市プランナーの新たな関わり方─これからの交通まちづくりにおける民間都市プランナーの役割
小美野 智紀
地域プロデュース型都市プランナーの職能─プランニングの民主化に向けて
泉 英明
多様な主体のパブリックマインドがまちの価値を育む─まちと人の生態系をつくる都市プランナー
杉本 容子
エリアマネジメント組織とその役割─公共空間の利活用から都市経営へ
長谷川 隆三
SDGs や脱炭素社会を実現するまちづくり─都市計画や都市プランナーが下支えするSDGs や脱炭素社会
河野 有吾
都市のスマート化へ向けた民間都市プランナーの役割─サスティナブル・スマートタウンの構想・計画・実現を通じて
坂本 道弘
都市,データ,ビジュアライゼーション─バルセロナの建築家と都市プランナーが切り開く新たな職能の可能性とその地平
吉村 有司
総合プロフェッショナルファームにおける民間都市プランナーとしてのまちづくりへの関わり方
米森 健太・大庭 沙紀
シンガポールにおける民間都市プランナーの実態と展望─シンガポール都市計画協会(Singapore Institute of Planners)会長Djoko Prihanto 氏からの寄稿
西浦 定継
【座談会】
[世代ミックス座談会]民間都市プランナーの歩む先
神尾 涼太×杉浦 榮×中島 弘貴×益尾 孝祐×村山 顕人×山下 陽子×小泉 秀樹
【編集後記】
小浦 洋生・松本 彩花
アブダビ(アラブ首長国連邦)
横松 宗彦