学会案内
About CPIJ
会長就任あいさつ
小泉 秀樹
日本都市計画学会 第40代会長
東京大学 大学院工学系研究科都市工学専攻 教授
このたび日本都市計画学会の第40代会長に就任いたしました小泉です。
まずは、本学会の発展にご尽力いただいた歴代の会長をはじめ、役員、委員、事務局の皆様、そして会員の皆様に心より敬意と感謝を申し上げます。
甚だ微力ではございますが、本学会のさらなる発展と、我が国そしてアジアをはじめとした世界の都市計画の進展に全力を尽くす所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本学会はこれまで、都市計画に関わる学術を推進し、その成果を実務へ還元することを通じて、またアジアにおける国際交流を主導することを通じて、我が国そしてアジア諸国の都市計画の発展に大きな役割を果たしてきました。その歴史と伝統を受け継ぎながら、新たな時代の要請に応えていくことが私たちの使命であると考えています。
「都市及び都市計画をめぐる社会的コンテクスト」
現在、私たちが向き合う都市や地域は、大きな転換期を迎えています。人口減少と少子高齢化のさらなる進展、激甚化する自然災害への対応(防災・減災)、気候変動問題への対応や生物多様性の確保、グローバリゼーションギャップが進む都市におけるさまざまな人々の社会的包摂、そしてデジタル技術(DX)を活用したスマートシティの社会実装など、取り組むべき課題は多岐にわたり、かつ複雑化しています。 また、人々のライフスタイルが多様化する中で、単に物理的な空間を創るだけでなく、そこに生きる人々の精神的・身体的・社会的な幸福としてのウェルビーイングをいかに高めるかという視点も、これまで以上に重要視されています。
思えば、近代都市計画も、様々な社会的転換が生じる状況の中で、民主的な国家体制のもと計画的に都市を形成しコンロールする社会的手段として成立してきた経緯があります。
そして、現代は、近代都市計画の成立期以来の大きな社会的転換の時代を迎えており、その中で、都市計画も新しいものへと大きく転換する必要があると考えています。都市そのものが様々な課題を統合的に解決する「ソリューション」となることが求められており、またそうした都市を実現する方法としての新たな都市計画制度の構想・構築も不可欠であると考えています。
こうした文脈のもと、本学会は、次代のあるべき都市と都市計画のあり方を、先陣を切って検討し、その形成と充実にリーダーシップをもって貢献する必要があると考えています。
丁度、第40代会長、そして学会創設75周年の節目を迎えることもあり、このような問題認識に立ち、私は任期中に以下の3つの柱を中心に学会活動を推進して行きたいと考えています。
「学際的でセクターを超えた協働の推進」
先の通り複雑化する都市課題は、従来の都市計画の枠組みだけでは解決できません。建築、土木、造園とのさらなる協働はもちろん、環境学、情報学、社会学、経済学、医学といった多様な分野との学際的な取組が必要と考えています。また、福祉、教育、看護などの諸分野の専門家・実務者との連携も欠かせません。このような関連分野の研究者や専門家、実務者との交流を深めて行ければと考えています。
また、産官学民のネットワークをさらに強固にし、実践に根差した研究と、研究や実践に裏付けられた政策提言を活発化させて行きたいと考えています。
「次世代を担う人材の育成と活躍の場の拡大」
本学会の持続的な発展には、若い研究者や実務家の存在が必要不可欠です。若手会員がのびのびと議論し、挑戦できる環境を整えるとともに、国際的な視野を持った人材の育成にも力を注ぎます。多様なバックグラウンドを持つ人々が、都市計画の魅力を感じ、活躍できる場の創設・拡大を目指したいと思います。また、自治体において都市計画実務を担う人材の育成についても、支部の取り組みと連携しつつ、積極的に貢献して行ければと考えております。
「社会への発信力強化と国際展開」
本学会が蓄積してきた知見を、広く社会や地域コミュニティ、そして政策決定の場へと分かりやすく発信していく「社会への還元」の取り組みを強化します。同時に、アジアをはじめとする諸外国の都市計画組織との連携を密にし、また欧米やオセアニアの関連組織との連携についても改めて取り組みを開始したいと考えています。また、国際学術誌への投稿が強く求められている昨今の若手中堅研究者の現状を鑑み、国際誌を有力とすることについても積極的に挑戦して行きたいと考えています。
都市計画の本質は、「未来のあるべき社会にむけた責任」であると私自身は考えています。私たちが今日描く都市のビジョンが、20年後、50年後、場合によっては100年後の人々の暮らしの基盤となります。 会員の皆様お一人おひとりの専門性と熱意こそが、本学会の原動力であり、日本や世界の都市の将来を形づくると考えています。
多様な意見を尊重し合いながら、より豊かで、安全で、持続可能な都市・地域の未来を共につくり上げていきましょう。
皆様の温かいご支援と積極的なご参画を心よりお願い申し上げ、私の就任の挨拶とさせていただきます。
(2026年6月5日)