編集委員会

Committee

学会誌案内

366号|ジェンダーと都市計画

都市計画2015 昨今,我が国においても急速にジェンダーについての議論が進んでいる。とくに昨年は,トイレの問題など都市計画に深く関連する分野においても,ジェンダーの問題は社会で広く注目を集め,議論されてきた。このような状況から,我が国の都市計画やまちづくりにおいてもジェンダーの視点を取り入れる必要性が認識されてきていると言えよう。欧米においては都市計画にジェンダーの視点を取り入れることは長く議論・実践されてきたが,我が国の都市計画において,「ジェンダー」とは非常に新しい概念であり,まずジェンダーと都市計画の関連性の整理や議論の枠組みの構築を行う必要がある。

 ジェンダーの概念は,従来のフェミニズム論による「男」と「女」という二元論ではなく,LGBTQ などの性的マイノリティも含んだ概念であり,より複雑で,実態を捉えるのが難しい。また,その国や都市の宗教,歴史などの文化や特性により,人々の認識や直面している課題も異なる。そのため,我が国の都市計画やまちづくりにジェンダーの視点を取り入れるためには,我が国における現状の把握や課題の整理も必要となる。

 そこで本特集号では,ジェンダーと都市の形成の関係性,ジェンダーを通して見た都市の現在,海外の都市計画におけるジェンダー・インクルーシブの取り組み,都市で生活・活動する上でのジェンダー・ギャップ,都市計画に関連する各分野におけるジェンダー・ギャップなどについて,課題の解消に取り組んでいる事例を交えながら議論する。本特集号を,ジェンダーの概念を今後の我が国の都市計画やまちづくりに取り入れる第一歩を踏み出すためのものとしたい。

(編集担当:松行 美帆子・外山 友里絵・坪田 華)

目次

地図の中の風景

地図で見るジェンダーの地域格差
 林 玲子


支部トピックス


ジェンダーと都市計画

【概論:ジェンダーと都市の現在地】

ジェンダーと都市計画
 平山 洋介

身体,都市空間,インターセクショナリティ─『フェミニスト・シティ』が教える都市とフェミニズムの現在
 東辻 賢治郎

都市生活と主権―都市におけるジェンダーギャップと主権について考える
 畑島 楓・佐野 優

American Planning Association(APA)における都市計画とジェンダー─女性のための計画部門における取組を中心としたレビュー
 外山 友里絵

国際機関におけるジェンダーと都市計画─世界銀行による"Handbook for Gender-Inclusive Urban Planning Design" のレビュー
 松行 美帆子

【データ/ファクトから読み解く都市とジェンダー】

産休の地域差─女性の総働き化の下で
 中澤 高志

ジェンダーと統計─LGBTQ の人権保障とジェンダー統計の充実の両立のための性別情報の扱い
 岩本 健良

若年女性人口が創り出す「東京一極集中」─エビデンスに基づく地方創生政策を
 天野 馨南子

移動におけるジェンダー・ギャップ─東京都市圏パーソントリップ調査の分析
 松行 美帆子・外山 友里絵

【都市計画におけるジェンダー・ギャップ】

女性の住宅購入からみる都市の住宅問題─多様化する世帯と住まい方
 由井 義通

災害とジェンダー─防災/復興まちづくりの質的向上も視野に入れて
 浅野 幸子

都市の安全性とジェンダー
 齊藤 知範・樋野 公宏

高齢者ケアとジェンダー─日本とアイスランドからの一考察
 大塚 陽子

超高齢社会におけるコミュニティづくり─誰もが参加できるコミュニティづくり
 柴田 範子

[インタビュー]子育てにおけるジェンダーギャップ─ファザーリング・ジャパンの活動を通して見えるこれからのライフデザイン
 安藤 哲也

【ケーススタディ】

兵庫県豊岡市におけるジェンダーギャップ解消に向けた取組み―すべての人が生きやすく,生きがいのあるまちへ
 原田 紀代美

母子ハウスの今─母子家庭居住支援中間組織の視点から
 秋山 怜史

【編集後記】
 松行 美帆子・外山 友里絵・坪田 華


書籍探訪・寄贈図書レビュー|企画調査委員会


わたしとあの街

ナイロビ(ケニア)
 小野 悠


追悼

黒川洸先生を偲ぶ
 岡本 直久


学会ニュース


【お詫びと訂正】

本号の掲載内容に誤りがございました。お詫びを申し上げるとともに以下に差し替えをお願い致します。

■ P. 36 表1  ※訂正内容:補注の脱文

errata366-.png