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381号|特集:まちづくりとファイナンス
人口減少・少子高齢化や高度成長期に整備された公共施設の老朽化が進む中,都市・地域の「持続可能性」を捉え直す必要がある。これまでのまちづくりは公共投資に依存してきたが,財政制約が強まる現在,公共施設等の質や価値を維持・向上するには新たな資金循環の仕組みが不可欠である。
加えて建設業界でも,技能者の高齢化と人材不足,資材高騰,環境規制,災害対応などが重なり,従来型の発注・施工体制では品質確保や効率性,将来のレジリエンス確保が難しくなりつつある。打開には,デジタル技術(BIM/CIM,ドローン,AI 等)による省人化と生産性向上だけでなく,グリーンインフラやカーボンニュートラル型建設など環境対応,公民連携による資金循環の活性化,人材育成と多様な担い手参入の促進を統合した戦略が求められる。そこで注目されるのが「まちづくりとファイナンス」の融合だ。
クラウドファンディング,地域通貨,REIT,地方債などの複合的な活用は資金調達にとどまらず,市民・企業・自治体が関与と責任を共有する参加基盤になりつつある。歴史的にも都市形成と資金の仕組みは不可分であり,ファイナンスは地域の未来像を形づくる社会的意思決定装置といえる。
一方で複雑なスキームや専門用語が壁となり,金融への距離感や外部資本への不安も生じているため,透明で参加可能な形への再設計・可視化が重要である。
本特集では,行政・デベロッパーだけでなく,地域金融機関・投資家・地域まちづくり団体・市民も連携して資金循環を生む取り組みを紹介し,ファイナンスを共創の基盤へ転換する可能性を探る。
(特集担当:小川 貴裕・三浦 梨紗)
目次
地図の中の風景
複雑ネットワークとしてのルーヴル美術館
吉村 有司
支部トピックス
特集:まちづくりとファイナンス
【まちの価値とは】
現状追認型評価を超えるインフラ事業評価─まちづくりの視点から
大西 正光
都市における経済活動の評価─アクセシビリティを基軸とした価値と魅力の循環マネジメント
宮下 光宏
居住者のコミュニティに対する認識が資産価値に与える影響─コミュニティ,主観的幸福,そして地価との関係性
小松 広明
まちづくりにおける〈迂回する経済〉─その考え方,いくつかの事例,展望について
吉江 俊
まちの魅力・ブランド形成とファイナンス─事業基盤を含む価値形成可能性評価へ
川原 晋
場の価値について考える
三友 奈々
都市の緑を資産にする─ネイチャーポジティブ時代の評価・市場・ファイナンス
伊藤 渚生
文化資産としてのコンテンツ消費の再考
牧 和生
【まちづくりに必要なファイナンスとは】
自治体によるまちづくり分野の資金調達
石田 三成
まちづくりにおける不動産ファイナンスの再定義─価値創造と資金循環の視点から
杉山 ひろみ
まちづくりの「外側」から資金循環を再設計する─SIB・PFS がもたらす社会課題解決型ファイナンスと「地域のCFRO 機能」の実装
久保 匠
地域金融機関のまちづくりにおける役割─地域金融機関と官民連携事業の関係性
吉川 祐平
多様化するまちづくり資金調達
上野 美咲
まちづくりにおける官民連携─日英のPPP/PFI の変遷から今後の展開を考える
本橋 直樹
【まちづくりとファイナンスの実践事例】
共助によるエリアマネジメントの財源確保─寄付とふるさと納税の活用
要藤 正任
公園を核とした新しいまちづくり「グラングリーン大阪」─パークマネジメントとエリアマネジメントの一体運営によるまち価値向上
山本 晃史・中野 草太
官民連携のスポーツまちづくりにおける「統合的価値」の創出─北広島市「北海道ボールパークFビレッジ」によるスタジアム・アリーナを核とする「街化」の実践を通じて
小川 太郎・柴 清文
京町家の保全・継承の現状とこれから─京町家の保全・継承に向けた持続可能な公民連携のプラットフォーム構築に向けて
嶋澤 貴大
地域と企業が支える継続の仕組み─浦島ビレッジにみるローカルIPO型まちづくりファイナンス
福田 和則
[インタビュー]「食から始まる日本創再生」の実践─「(再び)人が住みたくなる街づくり」を目指して
宮下 大輔・須藤 孝晃
【編集後記】
小川 貴裕・三浦 梨紗