編集委員会
Committee
委員長挨拶
編集委員長 就任のご挨拶
編集委員長 佐々木 邦明(早稲田大学 教授)
このたび、小泉秀樹先生の後任として、編集委員会の委員長を仰せつかりました早稲田大学の佐々木邦明です。
本編集委員会の主な役割は、学会誌「都市計画」の編集・出版になります。小泉前委員長は,学会誌とは「学」と「術」をつなぐメディアであると述べられました。また渡邉会長は「都市計画は実践の学問である」と述べています。このように,学会誌は学と術の橋渡しとなり,さらにそれを実践に結び付けていくことを支援することが,重要な役割であると認識しています。
このような視点に立った時,2024年7月に発行された第369号はそれを体現するものでした。369号は2024年1月1日に発生した能登半島の震災を受けて「緊急特集:2024年能登半島地震からの復興に向けて」と題して,能登半島という地理的な特性や,時代的な背景を踏まえた復旧・復興について,日本の都市計画の学と術を代表する方々からのご寄稿により出版されました。さらに事態の緊急度を鑑みて,4月にはオンラインで公表され,7月に冊子体で出版されました。まさに学と術を紙面でつなぎ,さらに震災への対処を迫られている方々への示唆に富む内容で,社会課題に対しての実践的処方箋を導くという学会誌の役割を体現したものと思います。
この特集の出版を通じて感じることは,学会誌は「学会員の皆さまと学会とをつなぐ極めて重要なチャンネル」であるだけでなく,「日本都市計画学会が社会的に実践的に貢献するためのチャンネル」でもあることです。このチャンネルは,できることならば,学会から会員の皆様へ,または学会から社会へという一方向を超えて,双方向に進められることが望ましいと思います。学会誌は多くの皆様の貢献・ご寄稿により成り立っております。その情報が伝わるだけでも有益であると思いますが,伝えられた情報がどのように受け止められ,また実践に活かされたのかは現状ではあまり明確になっていません。さらには学会誌の内容に触発され,さらに新たな議論が始まることもあると思います。ここでは,小泉前委員長が所信で示された,学会誌の特集テーマに関連するシンポジュームやセミナーなどを他の委員会とも連携して企画・開催することが,双方向のチャンネルになるための一つの方法になりうると考えております。
日本の都市計画にはまだ多くの課題が残されており,さらには,時代やテクノロジー,価値観の変化などによって周辺領域も変化し,新たな課題も増えてきています。学会誌の編集委員会としては、このような社会と時代の変化を適切に受け止め、都市計画やその周辺領域を学会誌の特集テーマとして企画・構想することで、これからの都市と都市計画のあり様について、学会員の皆さまと考えていくことができたらと思います。
会員の皆様の刺激となり,さらに議論が深まる企画を進めていきたいと考えておりますので,引き続きよろしくご支援のほどよろしくお願いいたします。